Q1 会社破産をした場合、従業員に対しどのようなことをしなければならないのですか。
会社が破産しますと、会社が消滅し、従業員もその身分を喪失することになり、次の就職先をさがす必要に迫られます。
次の就職先がみつかるまで、従業員は雇用保険から給付を受けて生活する必要がありますので雇用保険金の給付が円滑に進むよう離職票を交付しなければなりません。
社会保険の手続を社会保険労務士に頼んでいる場合すぐに社会保険労務士に連絡をとって離職票の作成をしてもらうとよいと思います。
又市役所等に対して、「給与所得者異動届」、「社会保険資格喪失届」などを提出する必要があります。
Q2 会社が破産した場合、国民健康保険に切り替える必要がありますか。
従業員が次の就職先が決まれば、そこで社会保険に加入し、従業員は健康保険証をいただくことができます。
すぐに新たな就職先が見つからない場合、従業員は住民登録をしている市町村役場に赴いて、国民健康保険加入手続をする必要があります。
そのうえで国民健康保険証の交付をうけるよう従業員に指導して下さい。
Q3 会社が破産した場合、社長の家族はどうなりますか。
社長の家族で会社の債務を連帯保証しているような場合、保証人として、その債務の支払い義務を負うことになりますが、連帯保証をしていなければ、社長の家族には何らの責任が発生しません。
会社の債権者から会社の債務を支払えとの要求を受けたり、連帯保証をしろと求められても、きっぱりとこれを拒否すればよいのです。
Q4 会社破産をした後社長は仕事をしてもよいのでしょうか。
会社破産をしても、仮に社長個人が破産しても、収入がなければ生活することができませんので、社長はどこで働いてもよいのです。
当事務所が関与した会社破産の経営者はことごとく、新しい就職先をみつけ仕事をし、賃金を得て生活し、立ち直りをはかっています。
会社の破産当初は事後の後始末に追われ、時間もないと思いますが、弁護士に自己破産の申立てを依頼し、事態がひとまず納まった場合には、むしろ、就職先を早く確保し新たな生活の目途をつける方が、ベターだと思います。
Q5 会社破産をしても社長の自宅は残せますか。
社長が会社の債務の連帯保証人となっている場合、社長個人も自己破産の申立てをすることが多くの場合必要になり個人資産の売却をして債務の返済をすることになりますので自宅は残せないということになります。
但し、社長が連帯保証人になっていなかったり、その他の債務を負っていない場合には、自宅を残すことも可能だと思います。
又、誰かが社長の自宅を購入し、その買受人が社長に引き続き居住することを許すような場合にも自宅の所有権は失うことになりますがそのまま居住することができます。
Q6 会社破産をしても社長は年金をもらえますか。
会社破産をしても国民年金や厚生年金の支給を受けることができます。
会社の社長自身が自己破産しても支給を受けることができます。
年金は老後の生活を支える手段の一つですから、差押え禁止の対象にもなっていますので会社破産だけでは勿論のこと、社長個人が自己破産したとしても受給することができます。
当事務所の経験によりますと、会社破産をした社長のすべてが年金の支給を受け、老後の生活の糧としていますのでご安心下さい。
Q7 会社が破産しても社長は生活保護はもらえますか。
会社が破産すると多くの社長は生活に困ることになります。社長個人が破産しなければならない場合には特に生活に困ります。社長がすぐに就職先を見つければ賃金をもらい、生活することができますが、そうでない場合生活保護の申請を居住先の市町村にする必要があります。
生活保護の申請は、生活に困っている方々の生活保障のためにあります。
遠慮や恥ずかしがらずにすみやかに生活保護の申請をして、生活の立て直しを図ることがベターです。
生活に困っていれば資産がなくなった会社の社長でも生活保護を受給できますので安心して下さい。
Q8 会社破産しても車は残せますか。
会社破産が決定されるとすべての会社の有する財産は破産管財人の管理下におかれ、換価され会社債権者への配当財源になったり未納の法人税や消費税当の支払い財源になります。
会社の所有する車も換価されることになりますので一般的には残すことはできません。
但し、その車を社長個人や家族が欲しいと申出た場合に、破産管財人はその車で誰かが事故を起こしたりすると管理責任を負わされることから早期に処分する必要があり、裁判所の許可を得て、社長個人や家族に売却することはよく行われています。
家族や親類が車を買いたいと思っている場合には、その車の適正な価値(当時の時価)で買い受けたいとの申し込みをすれば、多くの場合購入することができています。
Q9 会社破産をすると誰かにわかりますか。
あまり大きくない会社の場合には会社破産してもマスコミに報道されることもなく、一般の人々に知られることはありません。
ただ破産の申立てをすると裁判所の手続きになり、破産したということが「官報」に掲載されることになり、誰かにわかる可能性があります。
しかし、一般の方々で「官報」をみるという方々は少なく、社長の自宅の付近の人々やほとんど面識のない人々に知られるということはありません。
Q10 会社破産を当事務所に依頼した場合、債権者による取立ては止まりますか。
止まります。当事務所は社長から会社破産をしたいとの相談を受けた場合、相談の上、会社破産申立てに至るスケジュールを決めます。
そして、どの段階で会社が破産することを債権者に伝えるかどうかも決めています。
社長の中にはすぐに債権者に知らせてほしいという方もいますし、又、裁判所への会社破産の申立時と同時に債権者に伝えてほしいという方もいます。
いずれにしても当事務所が弁護士名で債権者に会社破産の申立ての通知をした場合、取立てはその段階で止まります。
しかし、中には当事務所から弁護士名で通知が行った場合にも取立てをやめない債権者もいますので、その時には、当事務所が、会社社長に取立てをしても優先的に弁済を受けることはなく、あとは裁判所の手続きや破産管財人の指示に従がってほしい旨ねばり強く説得しています。
当事務所では会社破産の申立てをしたら、それで会社社長とのつながりはなくなるというふうには考えておらず、会社社長の立ち直りが可能になるまで、会社社長の出あう困難にお付きあいをし、解決することにしています。